3Dプリンターを導入した話

タイトルの通りですが、3Dプリンターを購入しました。
届いてから数日経過し、楽しく遊んでいます。


目次


0. おことわり

Amazonへのリンクはアフィリエイトリンクです。

3Dプリンターを持っていない人にもなるべくわかってもらえるよう心がけて書いていますが、使い始めて10日ほどの初心者なこともあり、もしかしたらおかしなことを書いているかもしれません。
間違いを見つけたらやさしく教えていただけると助かります。


1. 導入した機種

Bambu Lab P1S Comboです。

Amazonのブラックフライデーセールで安くなっていたので、思い切って購入しました。
決め手は

  • 造形可能体積の大きさ
  • エンクロージャー付き
  • AMS付きでフィラメント管理がシンプル&多色印刷が可能
  • 機能と価格のバランス

です。

造形可能体積の大きさ

Bambu Lab製の3Dプリンタには、P1Sより安い機種も高い機種もあります。
2024年12月時点ではA1 miniが最も安いですが、A1 miniの造形可能体積は180x180x180mmです。
しかし、それより上位のモデルはすべて256x256x256mmです。
キーボードのケースを出力することを想定していたので、ある程度の大きさが出力できることが望ましいと考え、A1 miniは対象外としました。

エンクロージャー付き

エンクロージャーとは、外側を囲む箱状のケースのことです。
造形中は一部パーツが熱くなるので、うっかり触らないようエンクロージャーは必須と考えました。
これがあるのはP1SとX1Cのみです。

AMSでフィラメント管理がシンプル&多色印刷が可能

AMSは「自動素材供給システム」のことです。
これがあると、3Dプリンター本体と連動してフィラメント(3Dプリントする際の材料)をいい感じに送り出してくれます。

また、内部に乾燥剤を入れておくことで湿気を防ぐことができます。
フィラメントには湿気が大敵で、湿気を吸うと造形不良を起こしやすくなるようです。

さらに、1つのAMSには4つのフィラメントを入れておくことができるため、その範囲で複数種のフィラメントを組み合わせた出力をすることもできます。

AMSが取り付けられるか、いっそ最初から付いてるものにしよう、と思いました。

機能と価格のバランス

以上を満たすのは、P1SとX1Cでした。
X1CはP1Sの上位互換みたいな機種で、P1Sには無い機能(カメラ解像度の向上、タッチパネル操作、広い対応素材、AIによる失敗検知、などなど)がたくさんあります。
しかしその分お値段も高いです。
X1Cにしかない機能は私にとってそこまで優先度の高いものではなかったので、X1CではなくP1Sを選択しました。

また前述のAMSが最初から付いているモデルということで、最終的にP1S Comboの導入とあいなりました。


2. 最初に買っておくとよさそうなもの

P1Sを使うにあたって、本体と同時に購入しておいたほうがよさそうなものを実体験をもとにまとめました。

※すべて個人の主観です
※★の数の基準は「最初にあったほうがいいかどうか」であり、その物の有用性ではありません


3P2P変換

最初に買っておくとよい度:★★★★★(ほぼ必須)

P1Sの電源ケーブルは3P(普通の2P+アース用に1本)です。
これは普通の壁コンセントには入らないことが多く、私の家の設置予定場所も同様でした。
設置予定場所に3Pコンセントがない場合は必須ですね。


AMS

最初に買っておくとよい度:★★★★☆(最初にあると確実に便利)

最初に買ったというか、AMSとセットのモデル(P1S Combo)を購入しました。
フィラメントの湿度管理たいへんそうだったので……。
多色印刷への憧れもありましたし。


キムワイプ

最初に買っておくとよい度:★★★★☆(最初にあると確実に便利)

ビルドプレート(3Dプリンターはこのプレートの上に造形物を出力する)は、出力のたびに少しずつ汚れていきます。
これをきれいにするのに、あったほうがよさそうです。
ティッシュペーパーと違って細かい粉が落ちることがほぼないので、安心してビルドプレートを拭くことが出来ます。

ほんとは出力するたびにビルドプレートをIPAや食器用洗剤などできれいにした方がいいらしいんですが、私は手を抜いてキムワイプで拭くだけですw
汚れが目立ってきたらちゃんと洗おうと思います……。


先端が細いペンチ

最初に買っておくとよい度:★★★★☆(最初にあると確実に便利)

サポート(出力物の出っ張り部分に付く柱状のもの)を剥がすときに便利です。
細かいところも剥がしやすいように、先端が細い物がいいと思います。
サポートが不要な形状しか出力しないならペンチはいらないかもしれませんが、それはたぶん難しいと思います。


フィラメント

最初に買っておくとよい度:★★★☆☆(最初にあると便利)

P1S、お試し用にフィラメントが少し入っていました。
しかし量が少ないですし色も好きなものが選べるわけではない(緑とオレンジが入っていました)ので、好みの色や素材のものを別途買っておくといいと思います。
私は白や黒といった無難な色のフィラメントを最初に買っておきました。


乾物ストッカーと湿度計

最初に買っておくとよい度:★★☆☆☆(後からでもいいかも)

先ほど「フィラメントには湿気が大敵」と書きました。
購入直後のフィラメントは真空パック的なものに入っているので湿気からある程度守られているはずですが、開封してしまうと周囲の湿気にさらされることになります。
開封後のフィラメントを保管するためには、この乾物ストッカーを使うのが定番のようです。
ストッカーにフィラメントと一緒に乾燥剤と湿度計を入れておき、部屋の湿度と見比べられるようにします。


防振ゴム

最初に買っておくとよい度:★★☆☆☆(後からでもいいかも)

P1Sの脚に付けられる公式の防振脚座がありますが、私はケチって洗濯機用の防振ゴムを購入しました。
ただ、棚置きするなら振動対策はしたほうがよさそうですが、床置きの場合はそこまで必要ないのかもしれません。
今となっては比べようが無いですが、お守り代わりにこの防振ゴムを敷いています。


3. 最初に出力するとよさそうなもの

Bambu Labが運営する3Dモデル共有サイト「Maker World」には、そのまま出力できるモデルがたくさん共有されています。
その中から、3Dプリンターを利用する際に最初に出力しておいた方がよさそうなものをまとめました。

※すべて個人の主観です
※★の数の基準は「最初にあったほうがいいかどうか」であり、その物の有用性ではありません


スクレイパーの取っ手

最初に出力しておくとよい度:★★★★★(ほぼ必須)

造形物は、出力直後はビルドプレートにがっちりとくっついています。
そうしないと出力の途中で剥がれてしまい、正常に出力できなくなるからです。
このがっちりとくっついた造形物をビルドプレートから剥がす際に、スクレイパーが活躍します。

スクレイパー用の刃は付属していましたが、この刃を取り付ける取っ手は3Dプリンターで出力することになっているようです。

こちらはスクレイパーの取っ手とそれを納めるホルダーがセットになったモデルです。
ただ、後述の「ドアの取っ手」を出力する場合、こちらに含まれるホルダーは不要かもしれません。


Poop用ゴミ箱

最初に出力しておくとよい度:★★★★★(ほぼ必須)

3Dプリンターで出力する際、フィラメントの残りカスみたいなゴミが頻繁に出ます。
これはPoop(=ウ○チ)と呼ばれています。
このPoopを受け止める器が無いと、3Dプリンターの後ろにPoopがちりばめられる羽目になります。

シンプルなゴミ箱状のものや、Poopを受け止めて本体側面に落とし込む滑り台状のもの(本体側面にPoopが集まるのでゴミ捨てがしやすい)など、いろいろあります。
Maker Worldを「poop chute」などで検索するとたくさんヒットしますので、好みのものを選ぶとよさそうです。

私はシンプルなゴミ箱にしましたが、たまにゴミ箱より遠くにまき散らされるPoopがありましたw
Poopを吐き出す場所にはカバー的なものをつけて、まき散らされないようにした方がよさそうです。


ドアの取っ手(スクレイパーホルダー兼用)

最初に出力しておくとよい度:★★★☆☆(最初にあると便利)

P1Sのドアの取っ手ですが、飛び出している部分が小さくて手を引っかけにくいです。
そこで後付けの取っ手をつけて手を引っかけやすくしよう、というものです。
さらに、前述のスクレイパーをこの取っ手に収納することもできます。


掃除用スロープ

最初に出力しておくとよい度:★★☆☆☆(後からでもいいかも)

P1S内部の底部には結構ゴミがたまりますが、これを内部手前に集めて外に出そうとすると段差に阻まれてしまい、ゴミを一つ一つ摘まみだす羽目になります。
この手間をなくすためのスロープです。
これを取り付けることで、段差に阻まれることなくゴミを掃き出すことができます。

ゴミ掃除用なので、ある程度ゴミがたまってからの出力でもいいかもしれません。


4. 出力したけど期待と違ったもの


スクレイパー

「スクレイパーの刃が付属している」と前述しましたが、これが最初に見つからなかった(アホ)ため代わりにこちらのスクレイパーを出力しました。
しかし、刃の部分はある程度薄く鋭くないと造形物を剥がせないことに、あとから気づきました。
造形物と同じ堅さなので造形物を傷つける心配が相対的に低いのはよいところかもしれません。


5. 使ってみた感想

いやー、3Dプリンターはいいですね。
何がいいって、立体物を試作するサイクルが劇的に速く回るようになりました。

購入する前は、3Dプリントを請け負ってくれる業者に発注していました。
発注するとまずデータのチェックが数分~数時間行われ、それが終われば出力処理が数日、出荷されて手元に届くまで数日……と、実際に出力物を手にするまではおそらく10日以上かかっていたと思います。
そして出力物に問題があることがわかると3Dデータを修正するわけですが、またそこからさらに10日以上かけて出力物をゲットします。
それにさらに問題があることがわかると……。
もう、時間かかりすぎですね。

手元に3Dプリンターがあれば数時間(モデルによっては数十分程度)で出力物が手に入ります。
それで問題が発覚したら3Dデータを修正し、また数十分~数時間かけて出力します。
問題がさらに見つかったとしても、さほど苦になりません。

データ作成→出力→確認→データ修正→出力→確認……の時間が大幅に短縮されました。
もう多少のデータ不備は怖くないですw
いえ言い過ぎました、数時間かけて出力した物に不備があったらそれなりにイヤですね。
でもイヤさ加減は大きく減りました。

3Dプリンター導入前は時間のかかるポイントが「発注から到着まで」だったのが、導入後はそこの遅さが解消し「自分の3Dデータ作成速度」がむしろ時間のかかるポイントになったかもしれません。
3Dデータ作成スキルの向上、がんばります。